海外FXは違法?|仕組み・注意点・業者の選び方

「海外FXは危険」「違法だから利用してはいけない」というイメージを持っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、海外FXに対して「違法」「危険」という誤解が生まれる原因と、海外FX業者が日本の金融庁の監督下に入らない理由を解説します。海外FXで違法になる利用方法や、信頼できる業者の選び方も紹介するため参考にしてみてください。
目次
なぜ海外FXは「違法」「危険」という誤解が生まれるのか?
海外FXに「違法」「危険」といった誤解が生まれてしまうのには、次の3つの理由が挙げられます。
- 警告を受けている無登録業者が多い
- 悪徳な業者の存在
- 日本の法律と海外の法律の違い
海外FXを利用すること自体は違法ではないため、逮捕されたり、刑罰を受けたりすることはありません。日本のFX業者に比べて危険という誤解もありますが、信頼できる業者を選び、適切なリスク管理を行えば安全に取引が可能です。
安心して海外FXを利用するために、誤解が生じた理由を知っておくことが大切です。誤解されているそれぞれの理由について詳しくみていきましょう。
警告を受けている無登録業者が多い
海外FXを利用すると法律違反になるという誤解が生まれる原因のひとつは、金融庁から警告を受けている無登録の海外FX業者が多く存在するためです。
金融商品取引法では、海外FX業者が日本の金融庁の登録を受けずに、日本国内で勧誘や営業を行うことを禁じています。そのため、金融庁のHPで「無登録の海外所在業者との取引は行わないよう」という記載がされています。
結果、海外FX業者を利用すること自体が法律違反になるという誤解が生まれているのでしょう。金融庁は無登録の業者が金融商品取引を行うことは禁じていますが、海外FX業者の利用を禁じてはいないため、利用したとしても法律を犯したことにはなりません。
ただし、無登録業者を利用することで実際トラブルに合っている人が多数いることは事実なため、利用するときは信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
悪徳な業者の存在
顧客の出金要請に応じず資金を引き出させない、あるいは予告なく口座を凍結するなどの行為を行い、ユーザーの資金を持ち逃げする悪徳な業者が少なからず存在します。
一部の悪徳な業者によって、以下のような被害事例が発生しています。
- 取引で利益が出て出金しようとしたら「出金するには保証金を払わなければいけない」と言われた。
- 海外FXの自動トレードソフトを購入して利益が出たので、バージョンアップ版を追加購入し、追加入金した。1年間は出金できないと言われ、1年経ったので出金を申し込んだが応じてもらえない。
- 海外FX口座と自動取引システム機能を利用した商材を購入。システムがおかしな動きをして、ほとんどの資金を失った。
被害にあった例のなかには「1度出金ができたので信用して追加入金したら出金できなくなった」というような巧妙な手口も存在しているため、注意が必要です。
日本のライセンスを取得していない業者から被害を受けた場合、日本の法律による救済措置を受けられない可能性があります。業者を選ぶときは、信頼できる業者かどうか口コミなどをしっかり確認して選ぶことが大切です。
日本の法律と海外の法律の違い
海外FXが危険だと言われる理由として、法律の違いも大きく関係しています。法律の違いによって、以下の2点が海外FXに対するイメージを悪くしていえます。
- 日本の業者ではできない高レバレッジ取引によるハイリスク
- 顧客資金管理方法による保全体制
法律の関係で日本のFXでは最大25倍までのレバレッジでしか取引できませんが、日本のライセンスを取得していない海外FXは金融庁の規制が適用されずハイレバレッジの提供が可能です。
ハイレバレッジ取引は利益が大きく得られる可能性がある一方で、相応の損失を被るリスクも伴うため、「大きな損失を出すリスクが高いから危険だ」といわれがちです。
ハイレバレッジ取引にはもちろんリスクはつきものですが、多くのトレーダーはリスクヘッジを行なっています。ハイレバレッジ=危険ではなく、トレードの仕方次第といえるでしょう。
また、顧客資金管理方法の違いも見逃せません。国内FX業者は顧客資金管理方法として、業者の運転資金と顧客資金を分けて外部の銀行で管理する「信託保全」が義務付けられています。万が一業者が倒産したとしても、多くの場合、顧客の資金は返金される仕組みです。
しかし、海外FXの場合、顧客資金管理方法に信託保全が必須ではありません。ただし、倒産した場合に資金が返金される「The Financial Commission」といった民間の補償機関に加盟している場合があるため、「信託保全」がないからと危険と考えるのは早計でしょう。
安全に海外FXで取引を行うために、倒産した場合に資金が返金されるか業者かということもあらかじめ確認しておきましょう。
海外FX業者が日本のライセンスを取得しない理由
金融庁からの警告や注意勧告があるにもかかわらず、海外FX業者が日本のライセンスを取得しない理由は次のとおりです。
- レバレッジ規制
- ゼロカットシステムが導入できない
- ボーナスやキャンペーンへの規制
- 登録にコストがかかる
日本のライセンスを取得することで、トレーダーにとってデメリットになるケースが多くあります。リスクを理解したうえで利用すれば、大きな損害には結びつきにくいと考えられるため、よく理解して海外FXを利用しましょう。
レバレッジ規制
海外FXはハイレバレッジ取引を可能にするため、日本のライセンスを取得していません。日本のライセンスを取得した場合、金融庁の規制によりレバレッジ倍率は最大25倍に制限されるため、ハイレバレッジを提供ができなくなるためです。
レバレッジとは、少ない元手で大きな取引を行える仕組みのことです。
例えば1ドル=140円のとき、1万ドルの取引をするには通常140万円分の資金が必要になります。レバレッジが50倍であれば、2万8,000円の資金で1万ドル分の取引が可能ですが、レバレッジなしだと2万8,000円の資金に対して、200ドル分しか取引できません。
利益においても大きな差ができます。たとえば、資金が2万8,000円ある場合に、レバレッジの有無でどれほど利益に差が出るかを見てみましょう。
▼条件
- 為替レート:1ドル=140円で購入、141円で売却(1円の上昇)
- 資金:2万8,000円
【レバレッジなしの場合】
- 約200ドル分の取引が可能(2万8,000円 ÷ 140円)
- 1円の値上がりで得られる利益は約200円
【レバレッジ50倍の場合】
- 約1万ドル分の取引が可能(2万8,000円 × 50倍 ÷ 140円)
- 1円の値上がりで得られる利益は約1万円
このように、同じ元手でもレバレッジを活用することで、より大きな取引が可能になり、利益の幅も広がります。効率よく利益を狙える点が、ハイレバレッジの大きな魅力といえるでしょう。
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ゼロカットシステムが導入できない
海外FX業者は、ゼロカットシステムを導入できなくなるため、日本のライセンスを取得していません。
ゼロカットシステムとは、相場が急激に変動したときにロスカットが間に合わず、口座残高よりも大きな損失が出てしまったときに、業者が補填して残高をゼロにしてくれる仕組みのことです。
ゼロカットシステムはハイリスク取引をエスカレートさせる可能性が懸念されることから、日本では法律で禁止されています。
とはいえ、ゼロカットシステムが導入されていないと、口座残高より大きな損失が出た場合は業者にマイナス分を支払わなければいけません。ハイレバレッジ取引が可能な海外FXにおいて、ゼロカットシステムがないほうがトレーダーにとって大きな負担になるため、必要な仕組みです。
ボーナスやキャンペーンへの規制
日本では景品表示法という法律によりキャッシュバックできる金額には上限が定められているため、海外FX業者は日本のライセンスの取得をしていません。日本の金融ライセンスを取得する場合、以下の上限金額を守らないといけません。
取引金額 |
キャッシュバック金額の上限 |
1,000円未満 |
200円 |
1,000円以上 |
取引価格の20%まで |
日本の金融ライセンスでは、魅力的なボーナスを受けられないことがわかるでしょう。
海外FX業者では、口座新規開設時のボーナスや入金額に応じたボーナスなど、多くの業者がさまざまなキャンペーンを行っています。ボーナスやキャンペーンを上手く活用すれば、自分が持っている資金よりも多くの資金で取引できるため、海外FXの魅力のひとつに挙げられます。
多額のコストがかかる
日本の金融ライセンス取得には高額な費用が必要になるので、日本でサービスを展開する場合でも海外FX業者は手続きしない傾向です。
海外FX業者のなかには、信用度アップのために複数の国の金融ライセンスを取得するケースがあります。しかし、日本の金融ライセンスの取得条件は比較的厳しい傾向であり、条件を満たすためにコストがかかる傾向です。
例えば、以下の条件を満たすことで、多額のコストがかかる可能性があります。
- 株式会社化:日本における届け出にかかる費用
- 取締役会設置会社:登記にかかる登録免許税、役員の報酬、そして取締役会運営にかかる費用
- 事務所を国内に設置:事務所の家賃・光熱費・人件費といった継続的な費用
費用だけでなく、手続きといった手間がかかる点でも負担が大きくなりがちです。多くの海外FX業者にとって日本のライセンスを取得は負担が大きいと考えられます。
海外FXで違法となる行為・ケース
海外FXを利用すること自体は違法ではありませんが、利用方法によっては罰せられる可能性があるため注意が必要です。
安心して海外FXを利用するために、どのような行為をしてしまうと罰せられるかをあらかじめ理解しておきましょう。
利益の無申告・脱税
海外FX業者は日本のライセンスを取得していないため日本の法律は適用されないとはいえ、トレーダーは利益を得たときには必ず確定申告して税金を納めなければいけません。
申告しない、間違った金額を申告した場合は、脱税したとして所得税法違反で罰せられる可能性があるほか、追徴課税が発生します。
確定申告が必要となる利益は、給与所得者で年間20万円以上、自営業者や専業主婦で年間48万円以上です。海外FX取引で利益を得られたときは、1年間の損益を計上して、確定申告を行いましょう。
マネーロンダリング
海外FXをマネーロンダリングとして利用すると、違法となりかねません。マネーロンダリングとは、犯罪行為で得た不正な資金の出所を隠蔽するため、他人名義の口座や架空名義の口座などを経由して資金移転させる行為のことです。
FX口座がマネーロンダリングに利用された場合、麻薬特例法や犯罪収益移転防止法に抵触し、逮捕されると懲役刑や数百万円の罰金刑を科せられる可能性があります。
日本だけでなく、多くの国ではマネーロンダリングにFXを利用できないように厳格な本人確認や取引のモニタリングを行っています。悪徳業者を利用することでしらないうちにマネーロンダリングに巻き込まれる可能性があるため、業者選びの際には注意しましょう。
日本居住者に対する勧誘
日本のライセンスを取得していない業者が、日本に住んでいる人に向けて電話や訪問などで海外FXの勧誘を行うことは違法行為です。電話・訪問以外に、セミナーを開催して勧誘することも禁止されています。
実際、過去に副業セミナーを開催し、有償のFX投資スクールに勧誘したグループが逮捕されています。
家族や親しい友人相手であったとしても勧誘を行うと法律違反で罰せられる可能性があるため、他の人に無理に勧める行為は避けましょう。
取引に対して出資を募る
取引に対して出資を募る行為も、金融商品取引法違反となり罰せられる可能性があります。他者から出資を募って集めた資金を運用し、利益を分配する仕組みのことをファンドと言い、出資の募集や勧誘を行う者は必ず金融庁に登録しなければいけません。
登録を行わずに出資を募ると、金融商品取引法違反により罰せられる可能性があるため気をつけましょう。
無登録でEA(自動売買)の会員制販売やレンタル
EA(自動売買)を会員制で販売を行ったりレンタルしたりする行為は投資助言・代理業に当たるとみなされ、金融商品取引法に抵触し、罰せられる可能性があります。
無登録営業が発覚した場合、金融商品取引法第29条および第198条に基づき、「5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはその両方」が科される可能性があります。また、法人が違反した場合には、さらに重い「5億円以下の罰金」が課されるケースもあります。
購入したEA(自動売買)を自身が利用するのは問題ありませんが、他人に貸し出したり会員になるように勧誘したりすることはやめましょう。
信頼できる海外FX業者を見つけるには?
信頼できる業者を選ぶためにチェックするべきポイントは、以下のとおりです。
- 海外FX業者の特性を正しく理解する
- 金融ライセンスの確認
- 日本語サポート対応の有無
海外FXの利用は国内FXにはないメリットがたくさんあるものの、さまざまなリスクも懸念されます。安全に利用するに、信頼できる業者を選びましょう。
海外FX業者の特性を正しく理解する
海外FXを利用する際は、デメリットやリスクを正しく理解して利用することが大切です。レバレッジの高さだけにこだわり取引をすると、多額の損失を被りかねません。
海外FX業者にはハイレバレッジ取引が可能なことや、ゼロカットシステムが導入されていること、ボーナスキャンペーンが豊富なことなど、国内FX業者にはないさまざまなメリットが存在します。
メリットを活かすためにも、リスクを理解して損害が許容範囲を超えないようコントロールしましょう。
金融ライセンスの確認
安心してトレードできるよう、金融ライセンスを取得している海外FX業者を選んでください。
海外FX業者は日本の金融庁が発行するライセンスは取得していない場合でも、ほかの国や地域が発行する金融ライセンスを取得しているものです。
金融ライセンスを取得するには国ごとの審査基準に合格しなければいけません。比較的信頼性が高いといわれるライセンスには、英国のFCA(金融行動監視機構)やキプロスのCySEC(キプロス証券取引委員会)などが挙げられます。
ライセンスの取得難易度は国によって異なるため、ライセンスを持っているだけで信頼できる業者だと決めつけるのは危険のため、注意してください。
なかにはライセンスを取得していない業者もありますが、選ぶのはおすすめできません。ライセンスの有無はもちろん、ライセンスの信頼性についても確認しておきましょう。
日本語サポート対応の有無
海外FX業者を選ぶ際は、日本語サポート対応のある業者を選ぶことをおすすめします。海外FXを利用してラブルに巻き込まれた、操作に関してわからないことが出てきたときなどに、日本語でのサポートがあると安心です。
日本語サポートがあったとしても日本語の話せる外国籍のスタッフの可能性がありますので、日本人スタッフが対応しているかや、対応可能な曜日や時間も確認しておきましょう。
海外FXの特性を理解して信頼できる業者を選ぼう
海外FXにはネガティブなイメージがあるものの、利用自体は違法ではありません。悪徳業者やハイレバレッジ取引に対するイメージが影響していると考えられるため、リスクを理解したうえで、信頼できる業者を選ぶことが、海外FXでは大切です。
海外FX業者を選ぶときは信頼性の高いライセンスを取得しているか、日本語サポート対応があるかなどを確認して選びましょう。当サイトでは信頼できる海外FXを紹介しているので、下記もご覧ください。
著者(Rank FX 執筆者)

編集部
Rank FX編集部は、「海外FXをもっと安全に。」をコンセプトに情報発信を行っています。
FX取引にある程度慣れてくると、より高いレバレッジや多様な取引環境を求めて、海外FXブローカーに関心を持つ方が増えてきます。しかし、日本語対応で信頼できるライセンス取得済みの業者を見極めるのは容易ではありません。
そこで当編集部では、日本語で利用できる安全な海外ブローカーや、人気の高いMT4・MT5対応業者の情報をわかりやすくまとめ、初心者から中上級者まで役立つ記事を発信しています。