海外FXとは?国内FXとのちがい
海外FXとは、海外に拠点を置くFX業者を利用して行う海外為替証拠金取引のことです。
日本のFX業者と比べて、取引できる通貨ペアや銘柄が豊富、高いレバレッジなどの魅力がある一方、注意すべきリスクも存在します。
この記事では、海外FXと国内FXの違い、メリット・デメリットについて詳しく紹介します。
海外FXとは?
海外FXは、海外に本社を構える業者が提供する口座を利用して行うFX取引のことです。
海外に本社がある業者が日本法人を作り、国内の金融庁の許可を得たうえでサービスを提供している場合は、海外FXには当てはまりません。
海外FXは、国内のFX業者に比べてハイレバレッジで取引ができる、ゼロカットシステムを採用している業者が多いといったメリットがある一方、業者の信頼性や安心性リスク、ハイレバレッジ・ハイリスクといったデメリットも存在します。
海外FXと国内FXの違い
海外FXと国内FX業者の違いには、主に以下のものが挙げられます。
- レバレッジ
- スプレッド
- ゼロカットシステム
- 取引ツール
- ボーナス
- 税金
- 信託保全
それぞれの違いを詳しく解説します。
レバレッジ
海外FXは、個人・法人ともにレバレッジに制限がありません。
1,000倍を超える高いレバレッジを提供している業者が数多く存在します。
国内FXは、日本の金融庁により、個人口座のレバレッジは最大25倍に規制されています。
法人口座の場合も40~50倍程度で、海外FXに比べて低くなっているのが特徴です。
スプレッド
海外FXは、NDD方式が多く、スプレッドは業者によって異なりますが、国内FXより広いスプレッドを提供する業者が多い傾向にあります。
NDD方式(Non-Dealing Desk方式)とは、FX業者がトレーダーの注文を直接市場に流す方式です。
国内FXは、DD方式が多く、比較的狭いスプレッドを提供する業者が多い傾向にあります。
DD方式(Dealing Desk方式)とは、FX業者がトレーダーの注文を一旦受け止め、業者内で処理する方式です。
ゼロカットシステム
海外FXは、ゼロカットシステムを採用している業者が多数あります。
ゼロカットシステムは、取引において口座残高がマイナスになった場合、FX業者がマイナス分を補填し、口座残高をゼロに戻す仕組みです。
国内FXは、法律で損失補填が認められていないため、ゼロカットシステムはありません。
そのため、相場が急変した場合には、追証(おいしょう・追加証拠金)が発生する可能性があります。
取引ツール
海外FXは、MT4(MetaTrader4)やMT5(MetaTrader5)といったグローバルスタンダードな取引ツールを提供している業者が多いです。
国内FXは、各業者オリジナルの取引ツールを提供していることが多いです。
ボーナス
海外FXは、口座開設ボーナスや入金ボーナスなど、豊富なボーナスを提供している業者が多いです。
国内FXは、ボーナスキャンペーンはほとんど実施していません。
税金
海外FXで得た利益は、給与所得などのほかの所得と合算して税金が計算されます。(総合課税)
所得に応じて税率が変動する累進課税で、所得税・住民税を合わせた税率は15~55%です。
また、確定申告が必須です。
国内FXで得た利益は、給与所得などのほかの所得とは分けて税金が計算されます。(申告分離課税)
所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%で、一律20.315%です。
信託保全
海外FXは、業者により信託保全の有無が異なり、信託保全がない業者もあります。
国内FXは、法律により顧客の資金は信託保全が義務付けられています。
海外FXのメリット
海外FXは、国内FXにはない独自のメリットがあります。
以下では、主なメリットを紹介します。
豊富なボーナス
海外FXでは、口座開設ボーナスや入金ボーナス、キャッシュバックといった多様なボーナスキャンペーンを実施している業者が数多く存在します。
FX初心者や資金が少ないトレーダーにとっては、自己資金を最小限に抑えて取引を開始可能です。
また、ボーナスを証拠金として利用すればより多くのポジションを保有できるため、取引の機会を増やせます。
さらに、取引の練習や戦略テストにも役立つでしょう。
取引できる通貨ペアや銘柄が豊富
海外FXは、USD/JPY(米ドル/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)といったメジャーペアに加えて、TRY/JPY(トルコリラ/円)・ZAR/JPY(南アフリカランド/円)などのマイナー通貨や、株式、ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)などの仮想通貨、金(GOLD)・銀(SILVER)などの貴金属、原油(OIL)・天然ガス(GAS)などのエネルギーと、多種多様な取引が可能です。
通貨ペアや銘柄が豊富にあると、あらゆる国の経済状況や金利差に着目した取引ができます。
また、通貨ペアの取引で得た利益を、株式や仮想通貨に投資するなど、リスク分散やポートフォリオの多様化を図れます。
高いレバレッジ
海外FXは、レバレッジ規制が存在しないため、数百倍や数千倍といった高レバレッジを提供している業者が多く存在します。
たとえば、レバレッジが1,000倍であると、1万円の証拠金で1,000万円分の取引が可能です。
高いレバレッジを利用すると少ない資金でも大きな利益を狙えるため、短期間での大きな利益・取引機会の増加につながります。
ゼロカットシステムの採用
多くの海外FX業者では、ゼロカットシステムを採用しています。
ゼロカットシステムの採用により、予期せぬ相場変動で口座残高がマイナスになってしまっても、追証を支払う必要がないため、負債を抱えるリスクなく安心して取引できます。
追証のリスクがないと、高レバレッジを利用したハイリスク・ハイリターンの取引にも挑戦しやすいでしょう。
約定力の高い業者が多い
海外FXでは、トレーダーの注文がダイレクトに市場へ伝わるNDD方式を採用していることが多く、高い約定力を売りにしている業者も存在します。
約定力が高いと、トレーダーが注文した価格と、実際に約定した価格にズレが発生する「スリッページ」が起こりにくく、意図した価格で取引を実行できます。
スムーズな取引が可能なため、ストレスも感じにくいでしょう。
スキャルピングなどの短期売買との相性が良い
スキャルピングは、数秒から数分といった短い時間に何度も取引を繰り返す手法のため、注文が瞬時に約定する必要があります。
このため、高い約定力によるスリッページの減少が不可欠です。
また、取引コストとなるスプレッドの狭さ、高レバレッジで少額でも効率的に利益を得られるなどの海外FXの特徴も、スキャルピングなどの短期売買で利益を追及するトレーダーにとっては、非常に魅力的です。
多様な取引ツール
海外FXでは、MT4やMT5といった世界的に普及している高機能な取引ツールを利用できる業者が多いです。
これらのツールは豊富なインジゲーターや自動売買(EA)が利用できるうえに、カスタマイズ性が高く、自分に合った環境を構築できます。
海外FXのデメリット
海外FXには国内FXにはないさまざまなメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。
安全に利用するためにも、デメリットについてあらかじめ理解しておきましょう。
以下では、主なデメリットを紹介します。
業者の信頼性・安全性リスク
海外FXは、海外に拠点を置くFX業者のため、日本の金融庁の規制を受けていません。
さらに、金融ライセンスの信頼性も国によって異なります。
高レバレッジやゼロカットシステムといった魅力的なメリットが得られる一方で、日本の法律や金融ライセンスでは保護されず、業者とトラブルが発生した場合には、解決が困難になることも考えられます。
また、国内業者に比べて、業者の財務状況や経営状況も把握しにくいうえに、顧客の資金を信託保全していない業者も存在しています。
なかには、悪質な業者や詐欺を目的とした業者も存在しているため、業者選びには注意しなければなりません。
日本語サポートが不十分な場合がある
海外FX業者のなかには、日本語サポートを提供していない、または提供していても質が低い場合があります。
日本語サポートが不十分であると、言葉の壁に直面し、トラブル発生時の対応遅延や取引ルールの誤解が生まれやすいです。
とくにFX取引では、専門用語や複雑な内容を説明することが多く、多少外国語ができる人でもうまく伝えられなかったり、相手の言葉を理解できなかったりすることがあります。
また、取引スタイルや市場の状況によっては、一分一秒を争うこともあるでしょう。
迅速かつ安心の取引ができるよう日本語サポートが充実している業者を選ぶことをおすすめします。
日本と海外では時差が発生するため、サポート時間もあらかじめ確認しておくことが大切です。
スプレッドや手数料が高い傾向がある
海外FX業者は、国内FX業者と比較すると、スプレッドや手数料が高く設定されている傾向にあります。
高レバレッジやボーナスキャンペーン、多言語対応などはトレーダーにとって大きな魅力となりますが、これらにかかるコストをスプレッドやその他手数料として上乗せされていることがあるため注意が必要です。
取引コストが増加すると、同じ取引で得られる利益が減少するため、より多くの取引を実施する必要があり、その分リスクも高まります。
しかし、スプレッドや手数料はFX業者によって大きく異なります。
取引コストを抑えるためにも複数の業者を比較し、自分の取引スタイルに合った業者を選びましょう。
ハイレバレッジ・ハイリスク
海外FXには、数百倍や数千倍といった高いレバレッジで取引できる業者が数多く存在しています。
1,000倍のレバレッジでは、1万円の証拠金で1,000万円分の取引を可能とするため、少ない資金でも大きな利益を狙える一方、損失もレバレッジ倍率に応じて拡大します。
高いレバレッジであるが故に、わずかな価格変動でもロスカットが発動されることがあり、大きな損失につながりかねません。
少額資金で大きな利益が狙えたり、取引機会が増えたりするといったメリットだけでなく、ハイリスクであることもあらかじめ理解したうえで取引することが大切です。
海外FXの注意点・業者の選び方
海外FXは魅力的な特徴を持つ一方で、注意すべき点もいくつか存在します。
また、その注意点を理解したうえで、業者を選ぶことが大切です。
以下では、注意点を考慮した業者の選び方を解説します。
金融ライセンスの確認
海外FX業者を選ぶうえで、金融ライセンスの確認はとても大切なステップです。
金融ライセンスは、各国の金融当局が金融業者に対して発行する許可証のことで、業者の信頼性や安全性を判断するうえで重要な指標となります。
主な金融ライセンスには、英国FCA、キプロスCySEC、オーストラリアASICなどが挙げられ、これらは世界的にも信頼性の高いライセンスです。
しかし、金融ライセンスは国や地域によって規制の厳しさや監督体制が異なるため、すべての金融ライセンスが同等の信頼性を持つわけではありません。
なかには金融ライセンスを偽造している業者もいるため、FX業者のWEBサイトだけでなく、金融当局のWEBサイトでも確認しましょう。
また、金融ライセンスだけで判断するのではなく、顧客からの評判や情報開示の透明性など、複合的な判断も必要です。
信託保全や日本語サポートの有無
海外FX業者を選ぶうえで、信託保全や日本語サポートの有無は、安全性と利便性を大きく左右します。
信託保全は、業者が顧客から預かった資金を、信託銀行などの第三者機関に預け、分別管理する仕組みです。
信託保全があると、万が一業者が破綻してしまった場合も、顧客の資金は保護されており返還される可能性があります。
国内FXは日本の法律により信託保全が義務付けられていますが、海外FX業者は日本の金融規制の対象外であるため、信託保全がない業者がほとんどです。
しかし、信託保全がある業者も存在するため、より安全に取引したいのであれば信託保全がある業者を選びましょう。
また、取引ルールの問い合わせやトラブル発生時の対応をスムーズに受けられるよう、日本語サポートが充実している業者を選ぶことをおすすめします。
日本語サポートの有無だけでなく、対応時間や、電話・メールといった問い合わせ手段、日本人スタッフの有無などもあらかじめ確認しておくと、より安心です。
ハイレバレッジのリスク
ハイレバレッジは海外FXの魅力的な特徴のひとつで、少ない資金で大きな利益を狙える一方、損失もレバレッジ倍率に応じて拡大するため、ハイリスク・ハイリターンの取引手法です。
わずかな価格変動でもロスカットが執行されるといったデメリットもあります。
大きな損失が発生するリスクがあるため、精神的な負担も大きく、冷静な判断ができず誤った判断を下してしまうこともあるでしょう。
そこで、業者を選ぶ際には、レバレッジだけに着目せず、ゼロカットシステムの有無や、約定力の高さなど、総合的な判断が必要です。
スプレッドや手数料の確認
スプレッドや手数料といった取引コストは、利益に直接影響を与えるため、比較し検討する必要があります。
スプレッドや手数料は業者によって異なるだけでなく、通貨ペアや出金手数料・入金手数料などの条件によっても異なります。
そのため、業者のWEBサイトを確認し、スプレッドや手数料に関する情報は細かにチェックしましょう。
WEBサイトで情報が見つからない場合には、カスタマーサポートに問い合わせて確認することをおすすめします。
口コミや評判もしっかり確認
海外FX業者を選ぶ際には、業者の信頼性や実際の取引環境を知るためにも、口コミや評判をしっかり確認ください。
掲示板やSNS、口コミサイト、比較サイト、インターネット検索などで調べれば、業者のWEBサイトや公式情報だけでは分からない、利用者の体験談を知れます。
ただし、業者の良し悪しは取引スタイルや個人のニーズによって異なります。
なるべく自分と似た取引スタイルやニーズを持つ人の意見を参考にしましょう。
また、良い評判を鵜呑みにするのではなく、悪い評判も参考にすることで、より客観的に判断できます。