海外FXの「レバレッジ計算」方法|戦略的活用方法も

海外FX業者の高レバレッジは資金効率を大きく向上させる一方、大きな損失リスクも伴うため、注意が必要です。
本記事では、レバレッジの基礎から必要証拠金、損益、最大取引ロット数の計算方法までを詳細に解説。高レバレッジ取引で失敗しないための注意点や戦略的な活用法、適切な海外FX業者の選び方もご紹介します。
海外FXにおけるレバレッジの基礎知識
レバレッジとは、大きな金額の取引を少ない資金で行うための仕組みで、倍率が高くなるほど取引可能な金額も大きくなります。
たとえば、証拠金が1万円でレバレッジが2000倍の場合、2,000万円分の取引が可能です。このように少ない資金であっても、高いレバレッジをかければ多くの取引が可能になるため、効率的に利益が狙いやすくなることがメリットです。
国内FXでは、法律によってレバレッジの上限は25倍までと決まっていますが、海外FXでは日本の法律は適用されず、上限は各業者によって異なるため国内FXより高いレバレッジでの取引が行えます。
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レバレッジの計算方法
少ない資金で大きな取引が可能な分リスクも増える高レバレッジ取引では、実効レバレッジを把握しておくことが大切です。実効レバレッジを把握せずに売買を行うと、思わぬ損失を受ける可能性もあるためお気をつけください。
レバレッジは海外FX業者によって提供されますが、ある程度は自分でコントロールできます。実効レバレッジを確認するには、次の計算式を用いて計算しましょう。
(売買時の為替レート×取引数量)÷証拠金=レバレッジ
例えば、「取引数量1,000ドル」「証拠金1,000円」の条件下で「1ドル=140円」のときに売買すると、レバレッジは次の計算式で求められます。
(140円×1,000ドル)÷1,000円=140倍
レバレッジの倍率は、以下のように証拠金または取引数量の調整でコントール可能です。
証拠金が同額 |
取引数量に比例して、レバレッジが変動 |
取引数量が変わらない場合 |
証拠金に反比例して、レバレッジが変動 |
つまり、取引数量を増やすか証拠金を減らせば、レバレッジは実質高くできるということです。たとえば、先ほどの例と同じ為替レートと証拠金で取引するケースで、計算してみましょう。
▼取引数量が1,000ドルから2倍の2,000ドルにする
(140円×2,000ドル)÷1,000円=280倍
▼取引数量を変えずに証拠金を10分の1の100円に減らす
(140円×1,000ドル)÷100円=1400倍
取引数量・証拠金を変えるだけで、レバレッジが2倍になったり、10倍になったりします。ただし、提供するレバレッジは業者によって上限や条件による制限などが設けられていることもあるため、ご注意ください。
レバレッジに関連する計算方法
レバレッジに関連する、以下の計算方法も紹介します。
- 必要証拠金の計算方法
- 損益の計算方法
- 最大取引ロット数の計算方法
- ロスカット(証拠金維持率)の計算方法
海外FXで高レバレッジ取引を行う場合、証拠金に余裕を持ったりロスカットに気をつけたりすることが欠かせません。
レバレッジのメリットを最大限に利用しながらリスク管理を行えるように、レバレッジに関連する計算方法を理解して活用しましょう。
必要証拠金の計算方法
取引を行うのに最低限必要な金額を必要証拠金といい、次の式を用いて計算できます。
(取引ロット数×契約サイズ×現在の価格)÷レバレッジ=必要証拠金
契約サイズとは、1ロットで取引する量のことで業者ごとに数量の設定が異なります。
以下の条件で計算してみましょう。
- 取引数量を2ロット(1ロットは10万通貨とする)
- レバレッジ100倍
- 1ドル140円
必要証拠金:(2ロット×10万通貨×140円)÷100=28万円
ドル円やユーロ円のような対円以外の通貨ペアを計算したいときは、円に換算して現在価格を算出してから計算します。
FX業者のプラットフォームには、リアルタイムの為替レートが表示されるため、都度確認してください。
損益の計算方法
円建て通貨ペアの損益を求める計算式は次のとおりです。
獲得pips(決済価格-注文価格)×ロット数=損益
pipsは値動きの変動幅を示す単位で、円が含まれる通貨ペアなら1pips=1銭(0.01円)となります。たとえば、1ドルが140円の時点でドルを買い、価格が140.01円の時点で売ると1pipsを獲得、139.99の時点で売ると1pipsを失います。
以下の、具体的な計算も参考にしてください。
- 1ロット=10万通貨
- 1ドル140円の時点でドル買い
- 139.50円の時点で売却
損益:(139.50円-140.00円)×10万通貨=-5万円
例では5万円の損失ということがわかりますが、もし10ロットであれば50万円、0.1ロットであれば5,000円の損失が発生します。そのため、相場をうまく読めない取引のときはロット数を減らし、大きく利益を狙える可能性が高いときはロット数を増やすことでリスクを管理しましょう。
また、ドルストレートやユーロ/米ドルなどの外貨建て通貨ペアの場合、損益を求める計算式は次のとおりです。
損益=(決済価格−注文価格)×取引数量×円換算レート
最大取引ロット数の計算方法
最大取引ロット数は1度の注文で取引できる量の上限のことで、計算式は次のようになります。
(有効証拠金×レバレッジ)÷(契約サイズ×現在価格)=最大取引ロット数
有効証拠金とは、証拠金に含み益や含み損を合わせた金額のことです。たとえば、以下の条件であれば、7.14ロットが最大取引ロット数になります。
- 1ドルが140円
- 有効証拠金10万円
- レバレッジ1000倍
- 契約サイズ1ロット10万通貨
最大取引ロット数:(10万円×1000倍)÷(10万通貨×140円)=7.14
あくまで注文できる量の上限になるため、リスクや損益などを考慮して取引量の参考にしましょう。
ロスカット(証拠金維持率)の計算方法
一定の水準より証拠金維持率が下がってしまうと、ポジションが強制決済されるロスカットが行われるため、回避できるよう計算方法を覚えてください。
ロスカットは利用者を必要以上の損失から守るために行われます。意図しない決済によって損失が出る可能性があるため、なるべくロスカットされないように定期的に維持率を確認することをおすすめします。
また、ロスカットになる証拠金維持率の値は業者によって違うため、公式サイトで基準を確認しておきましょう。
証拠金維持率の計算式は次のとおりです。
(純資産÷必要証拠金)×100%=証拠金維持率
※ 純資産 = 証拠金 + 評価損益 − 出金予約額
なお、各項目は以下を参考にしましょう。
- 証拠金:現在口座にある証拠金の金額
- 評価損益:保有中のポジションを決済した場合の損益(プラスもマイナスも含む)
- 出金予約額:すでに出金手続きをした金額(まだ口座から引き出されていないもの)
仮に純資産が1万円、必要証拠金が2万円だったときの証拠金維持率は「10,000÷20,000×100%=50%」です。利用している業者のロスカット基準が50%以下だった場合、ロスカットが執行されます。
高レバレッジ取引で失敗しないためのポイント
海外FXのような高いレバレッジ取引で失敗しないためのポイントは、以下のとおりです。
- 適切なレバレッジを選択する
- 証拠金を多めに入金しておく
- 定期的に証拠金維持率をチェックする
高レバレッジ取引は失敗したときに多大な損失を受けてしまいがち。取引前に失敗しないためのポイントを押さえて、大きな損失を受けないよう気をつけましょう。
適切なレバレッジを選択する
取引の経験や予想される相場の動きに合わせて、適切なレバレッジを選択しましょう。海外FXをはじめたばかり頃は相場動きを予想するのは容易ではないため、分析ができないうちはレバレッジを低くしておきましょう。
また、相場の動きがある程度読めるようになっても、世界情勢によって突然大きく相場が変動し、想定以上の損失を受ける可能性もあるため注意しなければなりません。
常にレバレッジが高いままで取引しないよう気をつけてください。利益を狙える確率が高いときは高く、確率が低いときは低くし、自分のリスク許容度や戦略に合わせて選択することで大きな損失を避けられます。
証拠金を多めに入金しておく
相場が急激に変動した際、必要証拠金不足でロスカットが執行される可能性があるため、多めの証拠金を入金しておきましょう。
海外FXでは、証拠金を減らす方法とロット数を増やす方法でレバレッジの倍率を上げられますが、証拠金を少なくしてしまうと、常にレバレッジの高い取引しかできなくなるため危険です。
多めに証拠金を入れておけば、通常の取引は低い倍率で売買が行えます。利益が狙える確率が高いときにロット数を増やして倍率を上げれば、多額の損失を避けながら取引できるでしょう。
定期的に証拠金維持率をチェックする
証拠金維持率を定期的にチェックし、下がっているときは損切するか資金を入金するなどして証拠金維持率を上げましょう。
高レバレッジ取引ではリスクも大きくなるため、相場が予想とは逆の方向に大きく動くと、一気に証拠金維持率が下がることがあります。
ロスカットが執行され、損失が発生しかねません。取引を行う際は、定期的に証拠金維持率を確認するクセを身に付けましょう。
レバレッジを戦略的に活用するための応用
FX取引の戦略には短期トレードと長期トレードの2つがあるますが、レバレッジ活用における注意点が異なります。
レバレッジをうまく活用するために、注意すべき点を確認してください。
短期トレード(スキャルピング、デイトレード)
短期トレードには、数秒から数分単位で売買を繰り返す「スキャルピング」や、数分から数時間単位で売買を行う「デイトレード」などがあります。
短期トレードのメリットは以下のとおりです。
- 取引を行う時点での相場状況に合わせた売買ができる
- 為替の変動幅が少なくても利益を狙える
- 少ない資金で始められる
慣れないうちは低いレバレッジで、相場を読む力がつけば取引ロット数を増やして比較的高めのレバレッジで取引すれば大きな利益が狙えるでしょう。
ただし、経済指標の発表や要人の発言などで相場が予想と逆方向に動き、大きな損失を出るケースを想定することを忘れないでください。積み重ねた利益以上の損失を受ける恐れがあるため、損切りラインのルールを決めて守ることを徹底しましょう。
また、急激な相場変動でロスカットがかからないよう、証拠金維持率の定期的な確認もおすすめです。
長期トレード(スイングトレード、ポジショントレード)
長期トレードは、数日から数週間ポジションを保有する「スイングトレード」や、中長期間ポジションを保有する「ポジショントレード」のように、一定の期間ポジションを保有して収益を上げる取引のことです。
以下が、長期トレードのメリットです。
- 1回の取引で大きな利益が狙える
- 日々の相場の変動を常に気にする必要があまりない
長期トレードの場合、スワップポイントが発生します。自分が保有するポジションで発生するスワップポイントが、プラスもしくはマイナスになるかを知っておかなければいけません。
もし、マイナスのスワップが発生し続けた場合、予定どおりの利益が得られても結果として損失になります。また、レバレッジを大きくしてしまうとスワップも大きく発生し、相場の急変動が起こった際の損失も大きくなってしまうでしょう。
長期トレードを行うときは、レバレッジは比較的低めに設定し、証拠金維持率が安定するように多めに入金しておくことをおすすめします。
自分のリスク許容度を見極め、適切な損切ラインを設定してください。損切ラインの設定は、値幅を基準にする方法や損失額を基準に判断する方法、テクニカル分析を活用する方法などがあります。
損切ラインの幅の設定を間違えると、予想外の大きな損失を出す可能性もあるため、気をつけて設定しましょう。
海外FX業者選びとレバレッジ
レバレッジにもこだわって海外FX業者を選ぶときは、次のことにも気をつけて選びましょう。
- 取引条件
- リスク管理
- 安全性と信頼性
レバレッジの高さだけでFX業者を選ぶのはおすすめできません。ほかの項目も確認して、自身にあった海外FX業者を選びましょう。
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レバレッジや証拠金維持率を計算し戦略的にレバレッジを利用しよう
海外FXで大きな損失を避けながら高レバレッジ取引をするには、戦略ごとに適切なレバレッジを選択し、証拠金維持率を定期的に確認しながら取引することが大切です。各計算方法をしっかりと理解してトレードをすることで、損失のリスクを抑えられるでしょう。
リスク回避のためには、海外FX業者選びも重要です。安全性と信頼性の高い業者のなかから、自分に合った取引条件の業者を選びましょう。