海外FXで得た利益は、「雑所得」として分類され、各種税金が課されるため、必要に応じて確定申告が必要となります。
税金の抜け道はないため、確定申告が必要なケースに該当する場合は、必ず確定申告をしなければなりません。
この記事では、海外FXの利益にかかる税金の詳細や、確定申告が必要なケース、確定申告方法、節税方法などについて解説していきます。
海外FXの利益にかかる税金
海外FXで得た利益は「雑所得」として分類され、所得税・住民税・復興特別所得税(2037年まで)の税金が課されるため、必要に応じて確定申告が必要となります。
ポジション決済による利益確定時に税金が発生し、年間の利益が確定する12/31にその年の納税額が確定します。
日本国内の銀行送金の有無に関わらず、海外FXによる利益も国に税金として納めなければなりません。
「為替差益 + スワップポイントによる利益 ― 経費」を雑所得として計上し、後述する確定申告が必要なケースに当てはまる場合は、必ず確定申告をしましょう。
未申告や申告漏れは、後日罰則や追徴課税の対象となる可能性があるため、ご留意ください。
参考:国税庁
海外FXで確定申告が必要なケース
以下のケースにおいて、海外FXでの利益を確定申告する必要があるかを見ていきましょう。
- 給与所得者(サラリーマンなど)
- 非給与取得者(自営業・専業主婦・無職など)
給与所得者(サラリーマンなど)
給与所得者の場合、海外FXで得た年間所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
これは、給与所得とは別に発生する所得(雑所得)であり、税務署に報告しなければならないためです。
利益から経費を差し引いた年間所得が20万円を超えた方は確定申告しましょう。
一方、年間所得が20万円未満であっても住民税は別途申告が必要なので、居住する市区町村への住民税の申告が必要となります。(確定申告済みであれば、住民税の別途申告は必要ありません。)
確定申告を怠ると、追徴課税や罰則の対象となる可能性があるため、ご注意ください。
非給与取得者(自営業・専業主婦・無職など)
自営業や専業主婦、無職の方の場合、年間所得が基礎控除額である48万円を超えると確定申告が必要です。
扶養親族に該当する場合、48万円の基準が適用されますが、FXを含む各年間所得の合計が48万円を超える場合は、扶養から外れるため、確定申告する必要があります。
FX以外でもアルバイトなどで収入があり、それらの合計の年間所得が48万円を超える場合は、確定申告が必要です。
参考:国税庁
海外FXと国内FXの税率の違い
国内FXの所得にかかる税金は「申告分離課税」が適用され、税率は一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)です。
一方で、海外FXの所得は「総合課税」として扱われ、所得税率は5%~45%の累進課税方式が適用されます。
他の所得と合算され、所得ごとに以下の税率が適用されます。
課税される所得金額 |
税率 |
控除額 |
1,000円~1,949,000円 |
5% |
0円 |
1,950,000円~3,299,000円 |
10% |
97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 |
20% |
427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 |
23% |
636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 |
33% |
1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 |
40% |
2,796,000円 |
40,000,000円~ |
45% |
4,796,000円 |
特に利益額が大きい場合には、海外FXの方が税負担は重くなるのが一般的ですので、税率や控除の違いを事前に確認しましょう。
参考:国税庁
海外FXの利益の確定申告方法
海外FXによる所得の確定申告は、以下の書類を用意して「確定申告書作成コーナー」より行えます。
- 海外FXの年間取引報告書
- 経費の証明書類(領収書など)
- 源泉徴収票(※給与所得者の場合)
- 控除証明書
- マイナンバーカード
確定申告書は、オンラインシステムや紙ベースでも作成できるため、ご自身に合った方法を利用しましょう。
詳しくは、国税庁が提供する、確定申告書作成コーナーの操作方法の動画解説もご参考ください。
参考:国税庁
海外FXでの節税方法
海外FXの確定申告において、以下の方法で節税ができます。
- 経費を計上する
- 他の雑所得の損失と合算する
- 所得控除を利用する
経費を計上する
インターネット通信費、パソコンやモニターなどの機材費、FX関連の書籍やセミナー費用などを経費として計上することで、節税対策になります。
経費として認められるためには、取引活動に直接関連していることを証明できる必要があるため、領収書や明細書をしっかりと保管し、明確な記録を残すことが重要です。
確定申告時に適切な経費を計上することで、課税対象となる利益を減らしましょう。
他の雑所得の損失と合算する
海外FXの利益は「雑所得」に分類されるため、同じ雑所得カテゴリに属する他の損失と合算することが可能です。
たとえば、仮想通貨取引などで損失が出た場合、それらを海外FXの利益と相殺できます。
ただし、国内FXは課税方式が異なるため、合算ができない点にご留意ください。
所得控除を利用する
所得税の計算時には、基礎控除や医療費控除、配偶者控除など、さまざまな所得控除を活用することで税負担を軽減できます。
たとえば、基礎控除はすべての納税者が受けられる控除であり、48万円が差し引かれます。
これらの控除を正しく申告するためには、確定申告時に対象となる経費や条件を把握し、必要な書類を準備することが重要です。
海外FXの節税対策は以上のような方法がありますが、税理士に相談することで、効果的な節税方法を提案いただくこともできます。
節税対策を最大限に活用し、税負担を大幅に軽減しましょう。
海外FXの確定申告に関するよくある質問
Q1. 年間20万円以下の利益でも確定申告が必要な場合がありますか?
A1. 住民税の申告義務がある場合や、他の所得と合算した場合に申告が必要となる場合があります。また、扶養控除の適用状況によっても申告義務が変わることがあります。
Q2. 海外FXの利益は仮想通貨取引と合算して申告する必要がありますか?
A2. はい。海外FXも仮想通貨も「雑所得」として扱われるため、同じ雑所得枠で合算して申告する必要があります。ただし、計算の詳細はそれぞれの取引形態によって異なるため、注意が必要です。
Q3. 海外FXの利益を見逃すとどうなりますか?
A3. 未申告や申告漏れが発覚した場合、追徴課税や罰金の対象となる可能性があります。また、悪質と判断されると追加のペナルティが課される場合もあるため、適切に確定申告を行うことが重要です。
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