海外FXでの自動売買システムの選び方は?


海外FXにおける自動売買は、トレーダーが事前に設定したルール(ロジック)に則って自動で売買を行うシステムです。
たとえば、相場が1ドル130円になったら買う、1ドル140円になったら売るというルールを設定しておけば、市場が条件に一致したときにシステムが自動で売買を行います。
本記事では、海外FXの自動売買システムの利用を検討している方へ向けて、概要やメリット・デメリット、選び方などについて解説します。
海外FXにおける自動売買とは
海外FXの自動売買は海外FXの取引方法のひとつで、ブローカーやサイトによって呼び方が異なります。
MetaQuotes(メタクオーツ)社が開発したMetaTrader(メタトレーダー)では「EA(Expert Advisor・エキスパートアドバイザー)」と呼ばれていますが、そのほかのブローカー・プラットフォームでは「ロボット」「システムトレード」などの呼び方です。
自動売買は各社が独自のシステムやサービスを提供しているため、開発が進んでおり近年利用者数が増加しています。
海外FX市場において、重要な役割を果たしているシステムです。
自動売買に必要な環境
自動売買のシステムを利用するには、稼働させるための海外FXプラットフォームが必要です。
世界中で多くのトレーダーが利用している有名なプラットフォームには「MT4(MetaTrader4)/MT5 (MetaTrader5)」「cTrader」などがあり、各社が独自に開発したプラットフォームを利用している方もいます。
自動売買を利用する前には、使っているプラットフォームが自動売買に対応しているかあらかじめ確認しておきましょう。
また、自動売買のパフォーマンスを最大限に発揮させるためには、パソコンを常に起動させておく必要があります。
24時間稼働し続けられるスペックのパソコンやWi-Fiなどのインターネット環境の設備も重要です。
そこで、自動売買を本格的に稼働させるのであれば、仮想サーバーのVPSやデスクトップクラウドの利用をおすすめします。
VPSは、日本語で仮想専用サーバーを意味するものです。
1台の物理サーバー内を仮想化技術により複数の仮想サーバーに分け、各々が独立したサーバーとして利用できます。
安定した性能のほか、自由度の高さやセキュリティ面でも安心です。
デスクトップクラウドは、インターネットを経由し利用できる仮想のデスクトップパソコンで、クラウド上にデスクトップ環境が構築されているため、デバイスや場所を選ばずにアクセス可能です。
VPSもデスクトップクラウドも安定した取引環境を可能とするため、自動売買の効率化を図れます。
自動売買の特徴とメリット
自動売買の主な特徴は、次の5点です。
- チャートを見続ける必要がなくなる
- 個人の感情に左右されなくなる
- 初心者でも取引しやすくなる
- 分散投資がしやすくなる
- スキャルピングと相性が良い
これらの特徴は、海外FXで自動売買を利用するメリットでもあります。
以下、順に詳しく解説します。
チャートを見続ける必要がなくなる
自動売買の最大のメリットは、やはりチャートを見続ける必要がなくなるという点です。
あらかじめ自身でルールを設定する必要がありますが、設定さえしてしまえばルールに則って自動で取引してくれるため、トレーダーがチャートに張り付いて見続けておく必要がなくなります。
手動の取引であれば、トレーダーが常にチャートを見て相場の動きを把握しておかなければなりません。
また、プラットフォームにより異なりますが、海外FXの取引は原則土日や一部休日を除き24時間稼働しているため、食べる暇や寝る暇もなく、監視し続けている方もいるでしょう。
自動売買を利用すれば、食事をしている間や寝ている間も設定されたルールに基づき取引が行われるため、早朝や深夜の取引も容易になります。
個人の感情に左右されなくなる
自動売買を利用すれば、個人の感情や判断に左右されるリスクがありません。
手動での取引では、利益を得たいと思う欲や損失を恐れてしまうことから、時に判断を誤ってしまう場合があります。
自動売買はトレーダーの感情や精神状況に関係なくルールに則って取引するため、もっと利益ができるのではないかと欲張ってしまったり損失を焦って取り返そうとしたりすることがなくなります。
感情的なトレードをしてしまいがちな方にとって、最適なシステムです。
また、相場の変動に一喜一憂することがなくなるため、ストレスの軽減にもつながります。
初心者でも取引しやすくなる
自動売買の設定はトレーダー自身が行わなければなりませんが、設定さえしてしまえば自動で取引してくれるため、海外FXの専門知識や市場の分析する必要がなくなります。
自動売買を利用すれば、初心者でも効率的な取引を可能とします。
ただし、専門知識や分析が全く必要なわけではなく、レベルアップしたい場合にはある程度の知識が必要です。
あくまでも「サポートツール」と認識し、トレーダースタイルやリスク許容度に応じて適切な運用方法を見つけることが大切です。
分散投資がしやすくなる
自動売買のシステムによっては、米ドル/円専用やユーロ/米ドル専用、英ポンド/米ドル専用といった通貨ペアに特化した設定のものもあります。
これにより通貨ペアごとに口座を分けて取引するといった使い方がしやすくなり、リスク分散を可能とします。
短期型・長期型の設定ができるシステムもあるため、トレードスタイルに応じた自動売買を選びましょう。
スキャルピングと相性が良い
自動売買はスキャルピングとも相性がよく、高い効率性と利益追求を目指す方にとって最適なシステムです。
スキャルピングは短期間で売買を繰り返し、高頻度で取引することで利益を生み出す取引方法です。
短期間の売買は人間が手動で行うには限界がありますが、自動売買を利用すれば高頻度の取引も24時間365日実行できます。
ただし、ブローカーによってはスキャルピング行為自体を禁止しているところがあります。
また、スキャルピングにはシステムの精度や通信環境の影響も大きいため、自動売買システムの選び方や高性能なパソコン環境の整備が重要です。
自動売買の注意点
自動売買の主な注意点には、下記のようなものがあります。
- 初期費用や維持費用がかかる場合がある
- 運用資金には余裕を持っておく必要がある
- 急な相場変動に対応できない場合がある
- 実績の検証を行う必要がある
- 不本意な取引が行われる場合がある
- 慣れるまでに時間がかかる場合がある
これらは、海外FXで自動売買利用時のデメリットでもあります。
自動売買をうまく活用するためにも注意点やデメリットについてもあらかじめ理解しておきましょう。
初期費用や維持費用がかかる場合がある
自動売買は無料のシステムもありますが、機能性の高さや信ぴょう性などを求めるのであれば、有料システムの購入もおすすめです。
また、自動売買を本格的に稼働させるのであれば、VPSやデスクトップクラウドの利用といった動作環境の設備も必要です。
費用は各プロバイダーやプランによって異なりますが、それぞれ月額5,000円~1万5,000円程度のランニングコストがかかってしまいます。
初期費用や維持費用をなるべくかけずに取引を行いたい場合は、無料のシステム利用や、ブローカーが提供する無料のVPSを利用するといいでしょう。
運用資金には余裕を持っておく必要がある
自動売買では多くの注文を同時進行で行うため、手動の取引に比べて十分な運用資金が必要です。
資金の目安は最低20万円程度、十分余裕を持っておきたい場合には50万円ほど用意しておきましょう。
急な相場変動に対応できない場合がある
自動売買は、あらかじめ設定されたルールに則って自動で取引するため、自然災害や注目度の高い経済指数発表時にも世間の動きに影響を受けず、稼働し続けます。
ルールに則った動きは通常時にはメリットとなりますが、相場急変時にはデメリットとなります。
どんなに優秀なシステムでも世間の動きを読んで稼働するものはないと把握しておきましょう。
実績の検証を行う必要がある
自動売買ではルールの設定後、バックテストなどで実績の検証を行わなければなりません。
また、バックテストは過去の相場をもとに利益の検証を行うシステムのため、バックテストで実績が確認できていても実際に稼働させると思うように利益が得られないこともあります。
自動売買では、取引自体は自動で行いますが、システムの選択や設定、管理はトレーダー自身で行う必要があります。
不本意な取引が行われる場合がある
トレーダーが自動売買の取引履歴を見たときに、違和感のある取引が行われていることがあります。
自動売買はルールに基づきトレードを行っているだけであり、システム自体が利益を生み出そうとしているわけではないため、損失を出す可能性も十分にあります。
システムによって特徴が異なるため、相性のいいシステムを見つけることが大切です。
慣れるまでに時間がかかる場合がある
自動売買といっても、ルールの設定やバックテストの検証などはトレーダーが行う必要があるため、実働できるまでに時間がかかる場合があります。
また、不本意な取引や急な相場変動に対応できないといったデメリットから、手動で取引するほうが手っ取り早いと感じてしまう方もいるでしょう。
自動売買は、完全放置で簡単に稼げるわけではなく、基本的には長期的にコツコツ利益を生み出す取引方法です。
慣れるまでに時間がかかって当たり前くらいに思っておきましょう。
自動売買システムの選び方
自動売買と一口にいってもシステムにより特徴が異なるため、不本意な取引を減らすためにもトレードスタイルと相性のいいシステムを選ぶことが大切です。
海外FXにおけるシステムの選び方は、主に次の5つがあります。
- 使用する取引ツールに対応しているものを選ぶ
- 無料か有料か
- 信頼できるFX業者の自動売買システムを選ぶ
- バックテスト・フォワードテストで成績を確認する
- 取引回数が年間100回以上の自動売買ツールを選ぶ
使用する取引ツールに対応しているものを選ぶ
まず、大前提として普段使用している海外FXの取引ツールやブローカーに対応したシステムを選ぶ必要があります。
MT4/MT5は世界中で広く利用されているプラットフォームですが、ブローカーによっては対応していない場合もあるため注意が必要です。
無料か有料か
自動売買システムには、無料のものもあれば有料のものもあります。
有料のシステムには信ぴょう性や実績が高いものもありますが、高価なものであれば数十万円で販売されているものもあるため、必要な機能や予算、トレードスタイル応じたものを選ぶことが大切です。
信頼できるFX業者の自動売買システムを選ぶ
自動売買システムを選ぶ際には、信頼できる海外FXブローカーであるかという点も確認しておくことをおすすめします。
自動売買は24時間365日稼働し続けるのが前提となっているため、安定性と安全性は重要です。
高性能なサーバーで安定しているか、取引情報や個人情報の漏洩リスクがないか、金融庁の規制に対応しているかなどの点を確認ください。
信頼できるブローカーは万が一のトラブルの際のサポート体制も整っています。
バックテスト・フォワードテストで成績を確認する
自動売買システムの実働にはバックテストが必須です。
また、バックテストだけでなく、リアルタイムの成績が知れる「フォワードテスト」機能が備わっているものであるとより信頼性が高いといえるでしょう。
システムによってはテスト結果を公表していないところもあるため、ご注意ください。
取引回数が年間100回以上の自動売買ツールを選ぶ
取引総数は、自動売買システムの信頼性の高さを表します。
いくら勝率が高くても取引回数が少なければその数値に説得力がありません。
目安として取引回数が年間100回以上のシステムを選ぶことをおすすめします。
自動売買システムの活用方法
自動売買システムの利用にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
メリットやデメリットを理解したうえで利用することで、より活用できるでしょう。
- 十分な運用資金を用意する
- 目先の利益を目的としない
- 完全放置せず、ある程度は相場を確認しながら運用する
十分な運用資金を用意する
自動売買システムを活用するためには、十分な運用資金を用意しておくことが大切です。
自動売買は手動の取引と同様にレバレッジがかかります。
レバレッジは資金やポジション量によって決まるため、運用資金が少ないと高レバレッジ・高リスクの取引になってしまう傾向にあります。
十分な運用資金がないと、すぐに損切されて損失が増えてしまう場合もあるためご注意ください。
目先の利益を目的としない
自動売買は基本的に「レート変動で少しずつ利益を生み出す」トレードスタイルです。
そのため、すぐに利益がほしい方や高リスク・高リターンな取引を望む方にはあまり向いていません。
じわじわ増やすという気持ちで運用しましょう。
完全放置せず、ある程度は相場を確認しながら運用する
「自動売買」という名前から、完全に放置していても自動で利益が増えているのではないかと考える方もいます。
自動売買とはいえ、完全放置で利益が得られるほど海外FXは甘くはありません。
現在の相場に合ったルールになっているか、バックテストの実績は十分かなど確認したうえで、トレーダー自身でもある程度相場を確認しておきましょう。